1:Linuxとは・CLIに触れる

目次

はじめに

エンジニアの現場では、サーバーの操作や開発環境の構築に Linux と CLI(コマンドライン) が当たり前のように使われます。Linux(リナックス)とは、パソコンやサーバーを動かすための OS(オーエス/基本ソフト)の一つ です。OS とは、Windows や Mac のように、コンピュータ全体を動かす土台となる基本のソフトウェアのことです。Linux はその仲間で、世界中のサーバーで広く使われています。なお サーバーとは、Web サイトやアプリなどのサービスを、他のコンピュータに提供し続ける役割のコンピュータ のことです。

普段使っているマウス操作とは違い、Linux の現場では文字(コマンド)でコンピュータに指示を出すことが多くあります。

最初は「黒い画面に文字を打つなんて難しそう」と感じるかもしれませんが、覚えるべきことは少しずつで大丈夫です。この回では、Linux・CLI とは何かを理解し、実際に自分の手で初めてのコマンドを打つところまでを体験します。


1. GUIとCLIの違い

私たちが普段パソコンを使うとき、アイコンをクリックしたりボタンを押したりして操作しています。これを GUI(ジーユーアイ)=画面の見た目を見ながらマウスで操作する方式 と呼びます。

一方、エンジニアが多用するのが CLI(シーエルアイ)=文字(コマンド)を打ち込んで操作する方式 です。

項目GUI(画面操作)CLI(コマンド操作)
操作方法マウスでアイコンをクリックキーボードで文字を入力
わかりやすさ見た目で直感的にわかる最初は慣れが必要
速さ・自動化1つずつ手作業まとめて高速・自動化が得意
主な使う場面普段のパソコン作業サーバー操作・開発作業

シェルとは?

CLI でコマンドを打つとき、その文字を受け取って実行してくれる相手がいます。それが シェル(shell)=あなたが打った命令を受け付けて、コンピュータに伝える「窓口」 です。

レストランに例えると、あなた(注文する人)とキッチン(コンピュータ本体)の間に立つ「店員さん」がシェルです。あなたが「これをやって」と命令(コマンド)を伝えると、シェルがキッチンに伝え、結果を持って戻ってきてくれます。

Linux で広く使われているシェルが bash(バッシュ) です。これから打つコマンドは、この bash という窓口が受け取ってくれます。


2. 学習環境を用意する

コマンドを打つには、端末(ターミナル)=コマンドを入力するための画面(アプリ) を開く必要があります。OS によって準備の仕方が違うので、自分のパソコンに合わせて進めてください。

OS必要な準備端末の開き方
Mac不要(最初から使える)「ターミナル」アプリを開く
WindowsWSL2 のインストールが必要WSL(Ubuntu)を開く

Mac の場合:ターミナルでそのまま

Mac は中身が Linux と同じ Unix 系の仕組みのため、特別な準備は不要です。Unix(ユニックス)とは、Linux の源流になった歴史あるOSの系統 で、Mac もこの Unix 系の仲間です。そのため Mac は Linux と操作感が近く、同じようなコマンドがそのまま使えます。最初から入っている「ターミナル」アプリをそのまま使えます。

  1. command(⌘)+ スペース を押して Spotlight 検索を開く
  2. ターミナル と入力して Enter
  3. 「ターミナル」アプリが開けばOK

(または Finder → アプリケーション → ユーティリティ → ターミナル からも開けます)

Windows の場合:WSL2 を使う

Windows はそのままだと Linux のコマンドが使えません。そこで WSL2(ダブルエスエル・ツー)=Windows の中で Linux を動かす仕組み をインストールします。これを入れると、Ubuntu(ウブントゥ)=Linux の中でも特に初心者に人気で広く使われている種類 が標準で入り、Windows の中で Linux を使えるようになります。

  1. スタートメニューを右クリック →「ターミナル(管理者)」または「PowerShell(管理者)」を開く
  2. 次のコマンドを打って Enter(Linux の一種である Ubuntu が入ります)
wsl --install
  1. パソコンを再起動する
  2. 再起動後、ユーザー名とパスワードの設定を求められるので入力する
  3. 以後はスタートメニューから「Ubuntu」を開けば Linux の端末が使えます

注意: WSL2 のインストールには管理者権限とインターネット接続が必要です。


3. 初めてのコマンド

端末を開くと、次のような文字が表示されています。

username@pc:~$

この行を プロンプト と呼びます。「コマンドを入力してください」という合図です。読み方は次のとおりです。

表示意味
usernameログインしているユーザー名
@pc使っているコンピュータの名前
~今いる場所(~ はホームディレクトリ=自分の作業部屋) ※ディレクトリ=フォルダのこと
$ここから後ろにコマンドを打つ、という記号

これ以降、本文では入力するコマンドの先頭に $ を付けて表します。$ は「入力の合図」なので、実際に打つのは $ より後ろの部分だけ です。それではコマンドを打ってみましょう。

※ Mac では行末が $ ではなく % の場合があります(使っているシェルの違いによるもので、操作は同じです)。

whoami:今ログインしているユーザー名を表示する

$ whoami

期待される出力(あなたのユーザー名が表示されます):

username

whoami は英語の「who am i(私は誰?)」そのままで、今あなたが誰として操作しているかを教えてくれます。

date:今の日付と時刻を表示する

$ date

期待される出力(例):

Fri May 29 14:32:10 JST 2026

date は現在の日付・時刻を表示します。曜日・月・日・時刻・タイムゾーン(JST は日本時間)・年が並びます。

※ パソコンの言語設定によっては『2026年 5月29日 金曜日 …』のように日本語で表示されることもあります。どちらも正解です。

pwd:今いる場所(現在地)を表示する

$ pwd

期待される出力(例):

/home/username

pwd は print working directory(今いるディレクトリを表示する) の略です。CLI では今どの場所(フォルダ)にいるかが画面に見えないため、このコマンドで自分の現在地を確認します。/home/username は「自分の作業部屋(ホームディレクトリ)」を表しています。


4. コマンドの基本構文

コマンドは、次の3つの部品の組み合わせでできています。

コマンド  オプション  引数
部品役割
コマンド何をするか(動詞)ls(一覧を表示する)
オプションどう実行するか(やり方の指定)-l(詳しい形式で)
引数何に対して実行するか(対象)/home(このフォルダを)

たとえば、次のコマンドを見てみましょう。

$ ls -l /home

これは「/home(引数)の中身を、-l という詳しい形式(オプション)で、一覧表示(ls コマンド)してください」という意味になります。

ポイントは次の3つです。

  • コマンド・オプション・引数は 半角スペースで区切る
  • オプションは多くの場合 -(ハイフン)から始まる
  • オプションや引数は省略できることも多い(whoami のようにコマンド単体で動くものもある)

この「コマンド オプション 引数」という型は、これから学ぶほぼすべてのコマンドに共通します。今は丸暗記しなくて大丈夫なので、「3つの部品でできている」とだけ覚えておきましょう。


演習

課題:端末を開いて3つのコマンドを実行する

自分のパソコン(Mac はターミナル、Windows は WSL の Ubuntu)で端末を開き、次の順番でコマンドを実行してみましょう。

$ whoami
$ date
$ pwd

それぞれ次のような結果が表示されれば成功です。

username
Fri May 29 14:32:10 JST 2026
/home/username

(ユーザー名・日時・パスはあなたの環境によって変わります)

※ date の行は、パソコンの言語設定によっては『2026年 5月29日 金曜日 …』のように日本語で表示されることもあります。どちらも正解です。

演習の確認ポイント

  • ☐ 端末(ターミナル / WSL)を開けましたか?
  • ☐ whoamidatepwd の3つのコマンドを実行できましたか?
  • ☐ プロンプトの $ が何を意味するか、自分の言葉で説明できますか?

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