イーサネットの伝送メディア
イーサネットでは、通信のために使うケーブルや媒体を「伝送メディア」と呼びます。大きく分けると有線と無線の2種類があります。有線では同軸ケーブル、UTPケーブル、STPケーブル、光ファイバーが代表的です。ここでは、それぞれの特徴を順番に見ていきましょう。
同軸ケーブル
同軸ケーブルは、初期のイーサネット規格である10Base5や10Base2で使われていたものです。現在のLANではほとんど見かけませんが、テレビのアンテナ線やオーディオ機器の内部配線など、別の分野では今も利用されています。LANの歴史を理解する上で「昔は同軸ケーブルが使われていた」という知識を持っておくと役立ちます。
UTPケーブル
UTPケーブルは、現在もっとも一般的に利用されているLANケーブルです。銅線を2本ずつ撚り合わせた「ツイストペア」を4組束ねた構造になっています。このペアの1本が「+」、もう1本が「-」として動作し、電圧の変化で0と1を表現することでデータ通信を行います。
UTPは「Unshielded Twisted Pair(非シールドツイストペア)」の略で、シールドがない分コストは安いですが、外部のノイズに弱いという特徴があります。
ケーブルカテゴリ(CAT)
UTPケーブルは性能によってカテゴリに分けられます。数字が大きくなるほど高速通信に対応でき、周波数帯域も広がります。試験ではカテゴリと対応する規格を正しく覚えることが重要です。
| カテゴリ | 最大周波数 | 主な用途 |
|---|---|---|
| CAT3 | 16MHz | 10Base-T、100Base-T4 |
| CAT5 | 100MHz | 100Base-TX |
| CAT5e | 100MHz | 1000Base-T |
| CAT6 | 250MHz | 10GBase-T(55mまで) |
| CAT6a | 500MHz | 10GBase-T(最大100m) |
| CAT7 | 600MHz | 10GBase-T(STPのみ) |
STPケーブル
STPケーブルは「Shielded Twisted Pair(シールド付きツイストペア)」の略で、UTPと同じ銅線構造ですが、さらに金属のシールドで覆われています。ノイズに強いため、工場など電磁波が多い環境や、高速通信(10GBase-Tなど)が必要な場合に使われます。
UTPとSTPはどちらも同じRJ-45コネクタを使用するため、外見だけでは区別しにくい点に注意しましょう。
RJ-45コネクタ
LANケーブルの両端についている接続部分がRJ-45コネクタです。電話線で使うRJ-11と形が似ていますが、RJ-45の方が一回り大きいです。
RJ-45における配線方法は「EIA/TIA-568規格」で定義されています。この規格にはA配列とB配列があり、ピン番号ごとに色の割り当てが決まっています。
- ストレートケーブル … 両端を同じ配列(通常はB配列)にする
- クロスケーブル … 片端をA配列、もう片端をB配列にする
試験では「ストレートとクロスの違い」がよく問われるため、必ず覚えておきましょう。
光ファイバーケーブル
光ファイバーは電気信号を光に変換して伝送するケーブルです。内部は「コア」と「クラッド」の2層構造になっており、光はコアを通って進みます。
光ファイバーは以下の2種類に分類されます。
- マルチモードファイバー(MMF)
プラスチック素材も利用可能で安価。曲げに強く構内ネットワークでよく使われます。ただし長距離伝送は不向きです。 - シングルモードファイバー(SMF)
ガラス素材を使うため高価で扱いが難しいですが、数十kmといった長距離伝送に適しています。都市間接続やISPのバックボーン回線に利用されます。
試験では「MMFは構内用、SMFは長距離用」という使い分けを押さえておくことが大切です。
UTPケーブルの種類:ストレートケーブルとクロスケーブル
LANで使うUTPケーブルには、大きく分けてストレートケーブルとクロスケーブルの2種類があります。見た目はほとんど同じですが、中の銅線の並び方に違いがあります。
ストレートケーブルは両端で同じピン配列になっており、銅線が交差しません。一方クロスケーブルは内部で一部の銅線が入れ替わっており、両端のピン配列が異なります。そのため、RJ-45コネクタを覗き込めばどちらか判別できます。

ケーブルとピン配列の違い
100Base-TXと1000Base-Tでは、ストレートケーブルは同じ配列ですが、クロスケーブルの場合は入れ替わるピン番号が異なります。試験でも「1000Base-Tではクロスの配列が違う」という点が出題されることがありますので注意しましょう。
MDIとMDI-Xの違い
ストレートケーブルとクロスケーブルを使い分けるのは、接続する機器のポートの種類によるものです。Ethernet機器のポートは大きく「MDI」と「MDI-X」に分かれます。
- MDI(Medium Dependent Interface)
送信用がピン1・2、受信用がピン3・6に割り当てられます。PCやルータが該当します。 - MDI-X(MDI Crossover)
送信用がピン3・6、受信用がピン1・2に割り当てられます。スイッチやハブが該当します。
通信を行うためには、送信用ピンの信号が相手側の受信用ピンに届かなければなりません。したがって、
- MDI と MDI-X をつなぐとき → ストレートケーブル
- MDI 同士 または MDI-X 同士をつなぐとき → クロスケーブル
を使用します。
Auto MDI/MDI-X 機能
最近のスイッチやルータでは「Auto MDI/MDI-X」という機能を持ち、ストレートでもクロスでも自動的に判別して通信できるようになっています。そのため、実運用ではケーブルの種類を気にする機会は少なくなりました。
ただし 試験では今でも「どの組み合わせでストレート/クロスを使うか」が問われる ため、必ず整理して覚えておきましょう。
ストレートケーブルとクロスケーブルの接続例
MDIに分類される代表的な機器は「PC」「ルータ」、MDI-Xに分類される機器は「スイッチ」「ハブ」「ONU」です。
- PC(MDI)とスイッチ(MDI-X)の接続 → ストレート
- PC(MDI)とPC(MDI)の接続 → クロス
- スイッチ(MDI-X)とスイッチ(MDI-X)の接続 → クロス
この組み合わせは試験でも繰り返し登場するので、表やイメージ図で確実に覚えておくことが合格への近道です。