IPアドレスとは
IPアドレスは、インターネットやLANなどのIPネットワークに接続されたコンピュータやルータに割り当てられる「識別番号」です。電話番号や住所のように、通信相手を特定するための役割を持っています。
IPアドレスは本来 32ビットの2進数 で表されますが、人間にとって読みやすくするために8ビットごとに区切り、10進数に変換して「192.168.0.1」のように表記します。
32ビットの組み合わせは 2の32乗(約43億通り) あり、この数だけIPアドレスを割り当てることができます。
IPv4とIPv6
IPアドレスには2つの種類があります。
- IPv4:従来から利用されている32ビットのアドレス。現在も最も多く使われている。
- IPv6:IPv4アドレスの枯渇を解消するために開発された128ビットのアドレス。表記は「2001:db8::1」のように16進数で表される。
現状ではIPv4が主流ですが、少しずつIPv6の利用も広がっています。
IPアドレスの確認方法
Windowsで自分のPCのIPアドレスを確認するには、次の手順を行います。
- スタートメニューで「cmd」と入力し、コマンドプロンプトを開く
ipconfigと入力する
例えば「192.168.0.1」と表示されれば、それが現在のIPアドレスです。
IPアドレスの構成
IPアドレスは「ネットワーク部」と「ホスト部」の2つに分かれます。
- ネットワーク部:どのネットワークに属しているかを示す部分
- ホスト部:そのネットワーク内でどの機器かを識別する部分
例:192.168.5.200/16
/16は先頭16ビットがネットワーク部であることを示す192.168.5がネットワーク部- 残りの
200がホスト部
つまり、この場合「192.168.5」がネットワークを表し、その中の「.200」が特定のホストを表します。
IPアドレスのクラス
IPアドレスは、用途や規模に応じてクラスに分けられます。
| クラス | アドレス範囲 | ネットワーク部 / ホスト部 | 主な用途 |
|---|---|---|---|
| クラスA | 0.0.0.0 ~ 127.255.255.255 | ネットワーク部 8bit / ホスト部 24bit | 大規模ネットワーク |
| クラスB | 128.0.0.0 ~ 191.255.255.255 | ネットワーク部 16bit / ホスト部 16bit | 中規模ネットワーク |
| クラスC | 192.0.0.0 ~ 223.255.255.255 | ネットワーク部 24bit / ホスト部 8bit | 小規模ネットワーク |
| クラスD | 224.0.0.0 ~ 239.255.255.255 | 下位28bitがマルチキャストID | マルチキャスト |
| クラスE | 240.0.0.0 ~ 255.255.255.255 | 定義なし | 実験用 |
各クラスの特徴
- クラスA:ホスト部が24ビットあるので、1つのネットワークで 約1677万台 のホストを収容可能
- クラスB:ホスト部が16ビットで、1つのネットワークに 約6万5千台 のホストを収容可能
- クラスC:ホスト部が8ビットで、1つのネットワークに 254台 のホストを収容可能
- クラスD:マルチキャスト通信に利用される特別なアドレス
- クラスE:予約アドレスで、通常は使用されない
2進数で覚える方法
IPアドレスのクラスを10進数で暗記するのは大変ですが、2進数の先頭ビットを見ると簡単です。
| クラス | 先頭のビット列 | 開始アドレス |
|---|---|---|
| クラスA | 0xxxxxxx | 0.0.0.0 ~ |
| クラスB | 10xxxxxx | 128.0.0.0 ~ |
| クラスC | 110xxxxx | 192.0.0.0 ~ |
| クラスD | 1110xxxx | 224.0.0.0 ~ |
| クラスE | 1111xxxx | 240.0.0.0 ~ |
試験では「どの範囲がどのクラスか」「ホスト数はいくつか」がよく問われるので、クラスの始まりのビット列を覚える と効率よく対応できます。
予約済みIPアドレスとは
IPアドレスには、通常のホストに割り当てられない「特別な用途」のアドレスが存在します。これらを 予約済みIPアドレス と呼びます。代表的なのは ネットワークアドレス、ブロードキャストアドレス、ループバックアドレス の3つです。
ネットワークアドレス
ホスト部のビットがすべて 0 のアドレスです。
そのネットワーク自体を表すために使われ、個々のホストに割り当てることはできません。
例:192.168.1.0/24
- ネットワークアドレス →
192.168.1.0 - この場合、
.0はホストに割り当て不可
ブロードキャストアドレス
ホスト部のビットがすべて 1 のアドレスです。
同じネットワークに属する全ホストに一斉送信するために使用されます。
例:192.168.1.0/24
- ブロードキャストアドレス →
192.168.1.255
ループバックアドレス
127.0.0.0/8 の範囲はループバック用に予約されています。その中でも 127.0.0.1 が特に有名で、自分自身を指すアドレスです。
例えば、PCで ping 127.0.0.1 を実行し応答が返ってくれば、TCP/IPスタックが正常に動作していることを確認できます。
※ 試験でよく出る注意点:172.16.1.0/16 は見た目が「ネットワークアドレス」に見えますが、ホスト部がすべて0ではないためホストに割り当て可能です。
ブロードキャストアドレスの種類
ブロードキャストには大きく分けてローカルブロードキャストとダイレクトブロードキャストの2種類あります。
ローカルブロードキャスト
自分が所属するネットワークに向けたブロードキャストです。
例えば 172.16.0.0/16 におけるローカルブロードキャストアドレスは、
172.16.255.255
となり、このネットワーク内の全ホストが対象となります。
ダイレクトブロードキャスト
自分が所属していない別のネットワークに向けたブロードキャストです。
例えば、自分が 172.16.0.0/16 にいる状態で、172.17.255.255 に向けて送信する場合、これはダイレクトブロードキャストとなります。
しかし、この仕組みはセキュリティ上のリスクがあるため、多くのルータではデフォルトで転送が禁止されています。Ciscoルータでも IOS 12.0以降は無効化 されており、必要な場合のみ次のように設定します。
Router(config-if)# ip directed-broadcast
この設定はリモートからの Wake on LAN(WoL) などに利用されるケースがあります。
リミテッドブロードキャスト
宛先アドレスが 255.255.255.255 の場合を リミテッドブロードキャスト と呼びます。
これは「現在接続しているネットワーク全体」に対する特別なブロードキャストです。ルータを越えて他のネットワークへ届くことはありません。
試験では特に次の点がよく出題されます。
- ネットワークアドレス(ホスト部が全0)とブロードキャストアドレス(ホスト部が全1)の定義
- ループバックアドレス(127.0.0.1)の役割
- ローカルブロードキャストとダイレクトブロードキャストの違い
- リミテッドブロードキャスト(255.255.255.255)の存在
ここを押さえておくと、IPアドレス関連の問題に強くなります。
グローバルIPアドレスとプライベートIPアドレス
IPアドレスは大きく分けて グローバルIPアドレス と プライベートIPアドレス の2種類があります。両者の違いを理解することは、ネットワークの設計やCCNA試験において非常に重要です。
グローバルIPアドレス
グローバルIPアドレスとは、インターネット上で一意に割り当てられるIPアドレス のことです。
全世界で重複しないように、ICANN(国際機関)が管理し、日本ではJPNICが割り当て業務を担っています。
グローバルIPアドレスの範囲
(プライベートIPアドレスを除いた領域がグローバルIP)
| クラス | アドレス範囲 |
|---|---|
| クラスA | 1.0.0.0 ~ 9.255.255.255 / 11.0.0.0 ~ 126.255.255.255 |
| クラスB | 128.0.0.0 ~ 172.15.255.255 / 172.32.0.0 ~ 191.255.255.255 |
| クラスC | 192.0.0.0 ~ 192.167.255.255 / 192.169.0.0 ~ 223.255.255.255 |
例えば、皆さんが自宅のPCでWebサイトを閲覧しているとき、プロバイダのルータにはグローバルIPアドレスが割り当てられています。ただし、家庭のPCそのものにはプライベートIPが設定され、ルータによって NAT/NAPT でグローバルIPに変換されている場合がほとんどです。
プライベートIPアドレス
プライベートIPアドレスは、企業や家庭などの内部ネットワーク専用に使えるIPアドレス です。
この範囲のアドレスは自由に使うことができますが、同じ組織内で重複しないように割り当てる必要があります。
プライベートIPを持つ機器は、そのままではインターネットに接続できません。インターネットに出る際には、ルータなどが グローバルIPアドレスに変換して代理通信 を行います。
プライベートIPアドレスの範囲
| クラス | アドレス範囲 |
|---|---|
| クラスA | 10.0.0.0 ~ 10.255.255.255 |
| クラスB | 172.16.0.0 ~ 172.31.255.255 |
| クラスC | 192.168.0.0 ~ 192.168.255.255 |
試験対策としては、このプライベートIPの範囲だけ覚えておき、それ以外はすべてグローバルIPと判断する のが効率的です。
ポイント整理
- グローバルIP:インターネットで唯一のアドレス。ICANN/JPNICが管理。
- プライベートIP:組織内部で自由に利用可能。インターネット通信にはNATが必要。
- 暗記のコツ:プライベートIPの範囲(10.0.0.0/8、172.16.0.0/12、192.168.0.0/16)だけ覚える。
この違いは試験でも頻出なので、しっかり整理して覚えておきましょう。