IPv6(アドレスの種類と生成)

目次

IPv6アドレスの3つのタイプ

IPv6アドレスは大きく分けて ユニキャストアドレス、マルチキャストアドレス、エニーキャストアドレス の3種類があります。

アドレスタイプ通信対象説明
ユニキャストアドレス1対1IPv4のユニキャストと同じ。特定の1つのインターフェースを識別し、1対1の通信を行う。
マルチキャストアドレス1対グループIPv4のマルチキャストと同様。複数のインターフェースに同じアドレスを割り当て、グループ通信を行う。IPv6にはブロードキャストが存在せず、マルチキャストで代替される。
エニーキャストアドレス1対グループ内の1つIPv4にはない概念。同じアドレスを持つ複数のノードのうち、最も近い1台だけにパケットが届く。冗長構成や負荷分散に活用される。

試験では「IPv6にブロードキャストは存在せず、マルチキャストで代替される」という点が頻出です。

IPv6の3つのスコープ

IPv6アドレスは利用範囲(スコープ)によっても分類されます。

スコープ範囲説明
リンクローカル同一リンク(セグメント内)ルータを超えられない。隣接ルータ検出や自動設定に必須。
ユニークローカル組織内ネットワークIPv4のプライベートアドレス相当。組織内で利用可能だがインターネットでは使えない。
グローバル全世界IPv4のグローバルアドレス相当。インターネット上で一意に利用できる。

つまりユニキャストアドレスの中にも、このスコープの違いによって3種類が存在します。

  1. グローバルユニキャストアドレス
  2. ユニークローカルアドレス
  3. リンクローカルアドレス

かつて存在した「サイトローカルアドレス」は廃止され、現在はユニークローカルが利用されています。

IPv6の3種類のユニキャストアドレス

① グローバルユニキャストアドレス

  • IPv4のグローバルアドレスと同じ役割。IANAが管理。
  • 先頭3ビットが 001 の範囲、すなわち 2000::/3 がグローバルアドレス。
  • 用途別の例:
    • 2001::/16 → IPv6インターネット用
    • 2002::/16 → 6to4アドレス(IPv6移行技術用)
  • 構成要素:
    • グローバルルーティングプレフィックス(ISPから割り当て)
    • サブネットID(組織内で分割用)
    • インターフェースID(ホスト識別子、必ず64ビット)

② ユニークローカルアドレス

  • IPv4のプライベートアドレスに相当。
  • アドレス範囲は FC00::/7。ただし実際に使うのは FD00::/8 が一般的。
  • FDxx:xxxx:... のように記述され、組織内の任意のネットワークで利用可能。
  • インターネットにはルーティングされない。

③ リンクローカルアドレス

  • 各インターフェースに必ず割り当てられるアドレス。
  • アドレス範囲は FE80::/10。残りの54ビットは0で、FE80::/64 が基準形。
  • 同一セグメント内の通信(隣接ルータ検出、OSPFv3 などの動作確認)に必須。
  • 自動的に割り当てられるため、手動設定しなくても利用可能。

まとめ

  • IPv6には「ユニキャスト」「マルチキャスト」「エニーキャスト」の3タイプがある。
  • ブロードキャストは存在せず、マルチキャストがその役割を担う。
  • ユニキャストアドレスには「グローバル」「ユニークローカル」「リンクローカル」の3種類がある。
  • サイトローカルは廃止され、現在はユニークローカルを使用する。

試験では「FE80::/10 はリンクローカル」「FC00::/7 はユニークローカル」「2000::/3 はグローバル」といったアドレス範囲を覚えておくことが重要です。

IPv6 – マルチキャストアドレス

IPv6のマルチキャストアドレスは先頭8ビットが「1111 1111」で始まり、16進数で表すと FF00::/8 となります。このアドレスは以下の3つの構成要素から成り立っています。

  • フラグ(4ビット)
    0 = 永続的、1 = 一時的
  • スコープ(4ビット)
    パケットの到達範囲を示す
  • グループID(112ビット)
    マルチキャストグループを識別するID

スコープ値の例

スコープ説明
1インターフェースローカル自身のI/F内だけで有効
2リンクローカル同じリンク(セグメント)内
4管理ローカル管理範囲内
5サイトローカルサイト内の全ノード
8組織ローカル組織全体
Eグローバルインターネット全体

Ciscoルータが自動参加するマルチキャストグループ

IPv6を有効にすると、Ciscoルータは自動的に以下のグループに参加します。

アドレス対象フラグスコープ
FF02::1同一リンク上の全ノード永続的リンクローカル
FF02::2同一リンク上の全ルータ永続的リンクローカル
FF02::1:FFxx:xxxx要請ノードマルチキャスト永続的リンクローカル

特に要請ノードマルチキャスト(solicited-node)は、IPv4におけるARPの代わりにICMPv6を使ってMACアドレスを解決するときに利用されます。

スコープによる到達範囲の違い

スコープフィールドを変えることで、同じグループIDでも到達範囲を変えられます。

宛先スコープ到達範囲
FF02::1リンクローカル同一リンク上の全ノード
FF05::1サイトローカルサイト内の全ノード
FF08::1組織ローカル組織内の全ノード
FF0E::1グローバル全世界のノード

IPv6マルチキャストとMACアドレスの対応

IPv6マルチキャストはMACアドレスにマッピングされます。

  • 先頭16ビットは必ず 33:33
  • 下位32ビットはIPv6マルチキャストアドレスの下位32ビット

例:IPv6 FF02::1:FF22:2222
MAC = 33:33:FF:22:22:22

要請ノードマルチキャストアドレス

要請ノードマルチキャストアドレスは FF02::1:FFxx:xxxx という形式で、自身のユニキャストまたはエニーキャストアドレスの下位24ビットから生成されます。

例:インターフェースに 2037::1:800:200D:8C6C が割り当てられている場合
要請ノードマルチキャスト = FF02::1:FF0D:8C6C

IPv6ではARPを使わず、ICMPv6の Neighbor Solicitation (Type 135) をこのアドレス宛に送信してMACアドレスを解決します。

主な予約済みマルチキャストアドレス

アドレス用途
FF02::1全ノード(リンクローカル)
FF02::2全ルータ(リンクローカル)
FF02::5OSPFv3ルータ
FF02::6OSPFv3 DR/BDR
FF02::9RIPngルータ
FF02::AEIGRPルータ
FF02::DPIMルータ
FF02::1:2DHCPエージェント
FF05::1:3DHCPサーバ(サイトローカル)
FF02::1:FF00:0/104要請ノードマルチキャスト

試験対策の要点

  • IPv6にはブロードキャストが存在せず、マルチキャストが代わりに使われる
  • 要請ノードマルチキャストはARPの代替であり、Neighbor Discoveryに利用される
  • FF02::1 は全ノード、FF02::2 は全ルータ
  • マルチキャストMACは必ず 33:33 で始まる

IPv6 – エニーキャストアドレス

エニーキャストアドレスとは、複数のノードに同一のIPアドレスを割り当てる仕組みです。送信元がエニーキャストアドレス宛にパケットを送信すると、そのアドレスを持つノードのうち「最も近い」ノードへ転送されます。ここでいう「近い」とは、物理的な距離ではなくルーティングテーブル上で最短経路と判定されたノードを指します。

通信の見た目はユニキャストと同じく「1対1」であり、送信先が複数あるようには見えません。

エニーキャストアドレスの特徴

  • IPv6では標準でサポートされている。
  • グローバルユニキャストアドレスを利用して構成されるため、アドレス表記自体ではユニキャストと区別がつかない。
  • サーバ冗長化や負荷分散に有効。例えば複数のDNSサーバに同じエニーキャストアドレスを設定しておけば、利用者は常に最寄りのサーバに自動的に誘導される。
  • 各ノードは宛先アドレスを確認し、そのアドレスが自分のユニキャストなのか、エニーキャストなのかを判別して処理する。

ユニキャスト・マルチキャストとの違い

通信方式動作の違い
ユニキャスト宛先ノードを 1つだけ指定して通信
マルチキャスト同じアドレスを持つすべてのノードが受信
エニーキャスト同じアドレスを持つノードのうち、最も近い1つだけが受信

試験対策のポイント

  • IPv6で標準化された仕組みであり、IPv4にはない概念。
  • グローバルユニキャストアドレスを使って設定されるため、見た目ではユニキャストと区別できない。
  • マルチキャストは全員が受信、エニーキャストは最寄りの1台のみ受信、という違いを理解しておく。

このように、エニーキャストは主に 冗長化や負荷分散の仕組みとして利用されることを押さえておけば、試験問題にも対応できます。

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