IPv6(動的ルーティング EIGRP for IPv6)

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EIGRP for IPv6とは

EIGRP for IPv6は、IPv6プレフィックスに対応したEIGRPであり、IPv4版EIGRPと同じくDUAL(Diffusing Update Algorithm) を採用しています。動作モデルはIPv4版と共通ですが、IPv6特有の仕組みを持っています。

主な特徴と制約

  • ネイバー検出には Neighbor Discovery を使用
  • マルチキャストアドレスは FF02::A を利用
  • インターフェース単位 でEIGRPを有効化(networkコマンドは不要)
  • ルータIDの設定が必須(32ビット形式、IPv4アドレス表記)
  • 経路フィルタリングには distribute-list prefix-list を利用(route-mapは非対応)
  • パケットの送信元アドレスには リンクローカルアドレス が使用される

試験対策:注意するのは「FF02::A」「ルータID必須」「インターフェースごとに有効化する」という点です。

EIGRP for IPv6の設定手順

1. IPv6ルーティングの有効化

(config)# ipv6 unicast-routing

2. EIGRPプロセスの起動

(config)# ipv6 router eigrp <as-number>
  • AS番号は 1~65535 の範囲で指定し、ネイバーと一致させる必要があります。

例:AS番号1で起動

(config)# ipv6 router eigrp 1

3. ルータIDの設定

(config-rtr)# eigrp router-id <x.x.x.x>
  • IPv4形式で指定
  • IPv4アドレスが存在しない場合は必ず手動で設定

例:

(config)# ipv6 router eigrp 1
(config-rtr)# eigrp router-id 1.1.1.1

4. インターフェースでEIGRPを有効化

(config-if)# ipv6 eigrp <as-number>

例:

(config)# interface g0/0
(config-if)# ipv6 eigrp 1

これで、リンクローカルアドレスを使ってネイバーを検出し、経路交換が始まります。

EIGRP for IPv6の確認コマンド

コマンド説明
show ipv6 protocols有効なルーティングプロトコルの概要を確認
show ipv6 eigrp neighborsEIGRPネイバー情報を確認
show ipv6 eigrp topologyトポロジーテーブルを確認(サクセサ/フィージブルサクセサ)
show ipv6 route eigrpEIGRPで学習したルートを確認
show ipv6 eigrp interfaces各インターフェースのEIGRP情報を表示
show ipv6 eigrp traffic送受信されたEIGRPパケット数を確認

試験対策:ネイバーが確立されるときに使われるマルチキャストアドレスは FF02::A

EIGRP for IPv6のルート集約

IPv6ではIPv4のような自動集約はなく、手動で集約ルートを設定する必要があります。
集約はインターフェース単位で行います。

(config-if)# ipv6 summary-address eigrp <as-number> <prefix>/<length>

設定例

2001:DB8:0:1::/64 に集約し、Gi0/0からアドバタイズする場合

(config)# interface g0/0
(config-if)# ipv6 summary-address eigrp 1 2001:DB8:0:1::/64

EIGRP for IPv6は基本の流れがIPv4と似ていますが、networkコマンドを使わずインターフェースで直接有効化する点と、ルータIDが必須という点が重要です。ここを確実に押さえておくと試験で得点しやすくなります。

EIGRP for IPv6のHelloインターバルとHoldタイム

EIGRPでは、隣接ルータを検出し維持するために Helloパケット を使用します。この送信間隔を「Helloインターバル」と呼び、隣接ルータからHelloが途絶えたとみなすまでの待ち時間を「Holdタイム」と呼びます。どちらもインターフェース単位で調整可能です。

Helloインターバルのデフォルト値

インターフェースの種類により、デフォルトの送信間隔は次のように異なります。

リンク種別デフォルト値インターフェース例
広帯域リンク5秒LANリンク、ポイントツーポイントシリアル、ATM、FR、PRIなど
狭帯域リンク60秒T1帯域以下の低速マルチポイント回線(FRマルチポイント、ISDN BRIなど)

Helloインターバルの設定

(config)# interface <interface-id>
(config-if)# ipv6 hello-interval eigrp <as-number> <seconds>
  • <as-number>:EIGRPのAS番号(1~65535、ネイバーと一致させる必要あり)
  • <seconds>:Hello送信間隔(秒単位)

例:AS番号10でHelloインターバルを1秒に変更

(config)# interface g0/1
(config-if)# ipv6 hello-interval eigrp 10 1

Holdタイムの設定

Holdタイムは、ルータがHelloを受信しなくてもネイバーが生きているとみなす時間です。デフォルトでは Helloインターバルの3倍 に設定されます。

  • 広帯域リンク … 15秒(5秒 × 3)
  • 狭帯域リンク … 180秒(60秒 × 3)

もしHelloインターバルを変更した場合は、Holdタイムも合わせて調整する必要があります。

Holdタイムの設定

(config)# interface <interface-id>
(config-if)# ipv6 hold-time eigrp <as-number> <seconds>
  • <seconds>:ホールドタイムを秒単位で指定

例:AS番号10でHoldタイムを3秒に変更

(config)# interface g0/1
(config-if)# ipv6 hold-time eigrp 10 3

Hello/Holdタイム変更の利用シーン

障害検出と切り替えを高速化したい場合に、これらの値を短縮します。特に 音声通信(VoIP)ネットワークやコールセンター環境 では、ダウン検知を素早く行うために以下のような設定が一般的です。

  • Helloインターバル:1秒
  • Holdタイム:3秒

設定例

R1(config)# interface g0/1
R1(config-if)# ipv6 hello-interval eigrp 10 1
R1(config-if)# ipv6 hold-time eigrp 10 3

試験対策:
・EIGRP for IPv6のネイバー維持は Hello/Deadタイマー ではなく Hello/Holdタイマー と呼ばれる
・デフォルトはリンク種別ごとに異なる(LAN=5秒、低速リンク=60秒)
・HoldタイムはHelloインターバルの3倍
・高速切替が必要な場合に短縮設定する

EIGRP for IPv6のMD5認証(ルート認証)

EIGRPでは、ネイバー間で交換するルーティング更新パケットを認証することで、不正なルータからの経路流入を防ぎます。IPv6でもIPv4と同じくMD5認証が利用可能です。

キーチェーンの作成

複数のキーをまとめて管理するためにキーチェーンを作成します。

(config)# key chain <name>
  • <name>:任意の名前。ネイバーと一致させる必要はありません

キーIDの作成

キーIDごとに認証キーを定義します。

(config-keychain)# key <key-id>
  • <key-id>:0~2147483647で指定
  • ネイバー間でキーIDは一致させる必要があります

キー文字列(パスワード)の設定

キーごとに認証用パスワードを設定します。

(config-keychain-key)# key-string <password>
  • <password>:任意の文字列。大文字小文字は区別されます

キーの有効期間(オプション)

必要に応じて、受信・送信それぞれのキーの有効期間を設定できます。

受信ライフタイム

(config-keychain-key)# accept-lifetime <start-time> { <end-time> | infinite | duration <seconds> }

送信ライフタイム

(config-keychain-key)# send-lifetime <start-time> { <end-time> | infinite | duration <seconds> }

例:2025年12月1日9時から無期限で利用可能にする場合

(config-keychain-key)# accept-lifetime 09:00:00 dec 1 2025 infinite
(config-keychain-key)# send-lifetime 09:00:00 dec 1 2025 infinite

インターフェースでの認証有効化

インターフェースごとにEIGRPの認証を有効化します。

(config-if)# ipv6 authentication mode eigrp <as-number> md5

キーチェーンの適用

作成したキーチェーンをインターフェースに適用します。

(config-if)# ipv6 authentication key-chain eigrp <as-number> <keychain-name>

設定例

AS番号10でGi0/0にMD5認証を設定する場合

R1(config)# key chain EIGRP-KEY
R1(config-keychain)# key 1
R1(config-keychain-key)# key-string cisco123
R1(config-keychain-key)# accept-lifetime 09:00:00 dec 1 2025 infinite
R1(config-keychain-key)# send-lifetime 09:00:00 dec 1 2025 infinite

R1(config)# interface g0/0
R1(config-if)# ipv6 authentication mode eigrp 10 md5
R1(config-if)# ipv6 authentication key-chain eigrp 10 EIGRP-KEY

試験対策:
・EIGRP for IPv6の認証はインターフェース単位で有効化する
・ネイバー間でAS番号・キーID・パスワードが一致している必要がある
・設定の流れは「キーチェーン作成 → 認証モードを有効化 → キーチェーンを適用」

◆まとめスライド

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